1945 とある民家 死を約束された国と男

自分で1枚剥ぐのと 私に2枚剥がされるの
どちらがお好き
その気になるまで ウォッカでも飲みながら
ゆっくり待ってあげるわ

明滅する古電球
遠い空襲の音
祖国の爪先にまで羽虫が集っている
天井から降るホコリと木屑
先に爪がなくなるのはどちらかしら

血走った目 大袈裟に吹き出す汗
ウォッカを入れたグラスに沈む ダークブルーの瞳 水滴は涼しげで静か

這入ったあなたの持つお酒とあなた
祖国を喰らうあなたの国と
あなたを喰らうわたしとこの子
どちらが先に骨の髄まで噛み砕くのかしら

さて 感傷は置いておいて



残った眼球と舌
先に咀嚼されたいのはどちら